太宰の旅 『津軽』から~その2(青森市)
太宰治の作品『津軽』は、太宰の旅行記或いは、津軽の風土記のような作品であるが、小説に分類されています。
太宰が『津軽』の執筆の為に、津軽地方を旅行したのは、昭和19年5月中旬から6月初めごろの間らしい。
太平洋戦争の真っ最中であり、所々「防衛のため~」という文章は、見られるが、本土空襲が始まる前のせいなのか、まだそんなに切迫した雰囲気は無い。
下の写真は、青森時代の話で少しだけ語られる堤川(つつみがわ)ですが、その文章を引用します。
『隅田川に似た広い川といふのは、青森市の東部を流れる堤川の事である。すぐに青森湾に注ぐ。川といふものは、海に流れ込む直前の一箇所で、奇妙に躊躇して逆流するかのやうに流れが鈍くなるものである。私はその鈍い流れを眺めて放心した』
もう本当に海と合流する地点で、どこまでが川で、どこからが海か分かりません。
こちらは、海側を写した所と同じ橋の反対側、山手側を写したものですが、水の色がいかにも川といった感じで対象的です。
遠くには、八甲田山の一部が見えます。
太宰も学生時代にこの川を眺めたのかと思うと、見慣れた景色も少しだけ、違って見えます。